― 3社とも『B』で始まるのはスーパー業界の決まりなの?
関東でよく見かける3つのスーパーマーケット
関東を車で走っていると、いろいろなスーパーマーケットを見かけます。 普段行く近所のスーパーなら何とも思いませんが、ちょっと遠出をすると、 「あれ、このスーパー、さっきも見たような……」 と思うことがあります。
先日もドライブをしていると、大きなスーパーの看板が目に入りました。
「ベイシア」
しばらく走ると、今度は、
「ベルク」
そしてまた別の場所では、
「ベルクス」
……ちょっと待て。
ベイシア、ベルク、ベルクス。 どれも「B」で始まる。どれもカタカナ。 しかも私の印象では、どの看板も赤系の色が目立つ。 そして何より、全部スーパーマーケット。
これはもう、「同じ系列なんじゃないの?」と思ってしまいました。
ベイシアが本家で、ベルクが少し小型の店。 ベルクスはベルクの大型店。
あるいは、 ベイシア ➔ ベルク ➔ ベルクス という、スーパー界の進化系なのか。
ポケモンではありません。
しかし、知らない人間からすると、それくらいの関係に見えてしまうのです。

そこで家に帰ってから調べてみました。 すると――まったく別の会社でした。
しかも名前が似ている理由を調べていくと、これがなかなか面白い。 今回は、そんな「スーパーの名前で勝手に混乱したおじさん」のお話です。
まずは「ベイシア」
ベイシアは、関東でドライブをしているとかなり目立つ存在です。 特に郊外型の店舗は大きく、駐車場も広い。 食品だけでなく衣料品や日用品なども揃っていて、「せっかく来たから、ついでに全部買って帰るか」という気分になります。
さて、この「ベイシア」という名前。 てっきり私は英語の何かだと思っていました。 「Bay(湾岸)」か? いや、海のない群馬にもあるぞ……。
調べてみると、全然違いました。 ベイシアの公式説明によれば、「Beisia」はラテン語で「良・善」を意味する「BENE」と、旧社名の「ISEYA(いせや)」を組み合わせて作られた名称だそうです。
つまり、 BENE + ISEYA ➔ BEISIA ということ。そこには「より良いいせやになる」という意味が込められています。
なるほど。適当に横文字を付けたわけではありませんでした。ちゃんと歴史があったのです。 旧社名の「いせや」を残しながら、新しい会社として発展していこうという名前だったわけですね。 それを知らずに私は、「ベイシアの“ベイ”って何のベイだ?」と考えていました。英語ですらありませんでした。
次に「ベルク」
そして問題の「ベルク」。 埼玉を走っていると、本当によく見かけます。 こちらも赤系の看板が目につきやすく、「あ、ベルクね」と覚えていました。
ところが、ベルクの英語表記を見ると「BELC」です。 私はてっきり、ドイツ語の「Berg(山)」か何かだと思っていました。 秩父あたりから始まったスーパーなら、「山=ベルク」というのもそれらしいじゃないですか。
しかし、これも違いました。 ベルクの公式サイトによると、社名は「Better Life with Community」の頭文字から来ているそうです。 日本語にすると、「地域社会の人々により充実した生活を」という経営理念。
つまり、 Better / Life with / Community ➔ BELC というわけです。これも造語でした。
なるほど、そういう名前の付け方だったのか。そう言われれば、なんだか立派です。 ところが、買い物をする側はそんなことを知りません。 私の場合、「赤い看板のベルク」、これだけです。 企業理念まで考えながら大根を買う人は、たぶんあまりいないでしょう。
そして最大の難関「ベルクス」
さらにややこしいのが、「ベルクス」です。 初めてこの名前を見たとき、私は完全にベルクの系列だと思いました。
ベルク。 ベルクス。 だって、最後に「ス」が付いただけではありませんか。
普通に考えれば、 「ベルク」の複数形がベルクス。 「ベルク」の大型版がベルクス。 「ベルク」の高級版がベルクス。 そんな感じに聞こえます。「トヨタ」と「レクサス」ほど離れていれば別会社かと思いますが、「ベルク」と「ベルクス」です。これで無関係と言われるほうが驚きます。
しかし、ベルクスはベルクとは全くの別会社。運営しているのは「株式会社サンベルクス」です。 そしてベルクスにも、ちゃんと独自の名前の由来がありました。
それが、「Best goods Everyday Low price X」。 ベルクス公式サイトではこの言葉を社名の由来として掲げ、「鮮度の良い季節商品が毎日安い日本一のお店」という考え方を示しています。
つまり、 BeLX なのです。
これまた、ベルクとはまったく違うところから生まれた名前でした。
- ベルク: Better Life with Community
- ベルクス: Best goods Everyday Low price X
こうして英語で並べてみると全然違います。 ところが、日本語にすると「ベルク」と「ベルクス」。 やっぱり似ています。いや、似すぎです。
「完全に無関係……と思いきや、まさかの事実が」
ここまで調べて、「名前の由来も違うし、全部バラバラの別会社か」と納得しかけたのですが……さらに詳しく調べてみると、驚きの事実が判明しました。
なんと、ベイシアとベルクには深い繋がり(創業家同士の親戚関係など)があったのです!
現在のベルクはイオングループの仲間(持分法適用関連会社)になっていて、資本的にはベイシアグループではありません。しかし、歴史をたどるとベイシアグループ創業家と深い縁があり、今でも親密な関係として知られています。
つまり、
- ベイシアとベルク: 会社は別だけど、裏で血のつながり(親戚関係)がある親密企業
- ベルクス: こちらは本当にまったく関係のない完全に独立した会社(サンベルクス)
ということだったのです。
「全然関係ないじゃないか!」と一人でツッコミを入れていましたが、半分は私の直感(「この2つ、何か似てるぞ…」)が当たっていたわけです。ちょっと嬉しくなりました。
なぜ全部「B」なのか?
ここまで調べて、私はさらに疑問を持ちました。 ベイシア、ベルク、ベルクス。なぜ全部「B」なのか。
もしかすると、スーパーマーケット業界には「店名はBから始めると繁盛する」という謎の法則でもあるのか。 飲食店なら「味の〇〇」、建設会社なら「〇〇建設」、スーパーなら「B」。そんな業界のしきたりがあるのではないかと思いました。
しかし、これもまったく関係ありませんでした。 ベイシアのBは「BENE」。 ベルクのBは「Better」。 ベルクスのBは「Best」。 たまたま全部Bから始まっただけです。
とはいえ、「BENE」「Better」「Best」と並べると、なんとなく共通点があります。全部「良い」という意味合いの言葉です。
- BENE = 良い、善
- Better = より良い
- Best = 最高
スーパーですから、「悪い商品を高く売ります」という名前を付ける会社はありません。必然的に「良い」「より良い」「最高」といった言葉を使おうとすると、偶然Bが集まりやすかったのかもしれません。
そう考えると、3社ともBなのも少し納得がいきます。 それでも、「BEISIA」「BELC」「BeLX」と看板が並んでいたら、私はたぶんまた迷います。
名前だけでなく、看板まで似て見える
私が混乱したもう一つの理由は「看板」です。
もちろん、それぞれ細かく見ればデザインは違います。ロゴも違うし、字体も違う。配色も完全に同じではありません。 しかし、車で走りながら見るスーパーの看板なんて一瞬です。時速50kmで走りながら、「なるほど、このロゴのフォントデザインはベルクとは異なるな」などと分析している余裕はありません。そんなことをしていたら事故を起こします。
遠くから見て、 「看板が赤っぽい」 「Bから始まる」 「カタカナで『ベ』か『ベル』」 「スーパーマーケット」 これだけ条件が揃うと、脳内では勝手に同じグループに分類されてしまうのです。
私の脳内スーパー分類では、完全に「赤いB軍団」です。 (企業側からすると「一緒にしないでください」でしょうけれど……)
| 看板・ロゴ | 読み方 | 名前の由来・何の略? |
|---|---|---|
|
ベイシア Beisia |
BENE + ISEYA ラテン語で「良・善」を意味する BENE と、 旧社名の ISEYA(いせや) を 組み合わせて作られた造語。 「より良いいせやになる」という意味が込められている。 |
|
ベルク Belc |
Better Life with Community 「地域社会の人々に、より充実した生活を」 という経営理念から作られた名称。 Better + Life + Community → BELC |
|
ベルクス BeLX |
Best goods Everyday Low price X 「鮮度の良い季節商品が毎日安い日本一のお店」 という考え方を表した名称。 BeLX と表記する。 |
調べてみないと分からないもの
普段、スーパーの名前の由来なんて考えもしません。 ベルクに入って「今日はBetter Life with Communityを実践するために刺身を買おう」とは思いませんし、ベルクスに入って「さすがBest goods Everyday Low price Xだ」とも思いません。ベイシアでキャベツを買いながら「BENEとISEYAの融合を感じる」こともありません。
普通は「卵、高くなったな」「コーヒー、また値上がりしたな」「今日は肉が安いな」、それくらいです。
ところが、ちょっと疑問に思って調べてみると、普段何気なく見ている店名にもそれぞれの歴史や思いが詰まっていました。
「ベイシアとベルクとベルクスって、同じ系列じゃないの?」という単純な疑問から始まった今回の調査。 結論は、「全部別会社」。さらに名前の由来も「全部別」。
それなのに、全部「B」から始まり、全部スーパーマーケットで、関東を走っていると遭遇する。 そりゃあ混乱します。
次に見かけたら、少しだけ見方が変わりそう
これからドライブしていてベイシアを見かけたら、「あれはBENE+ISEYAだったな」と思うでしょう。 ベルクを見たら「Better Life with Community」、ベルクスなら「Best goods Everyday Low price X」。
……まあ、それも最初の数回だけです。 そのうちまた「あれ? これどっちだっけ?」となるでしょう。人間の記憶なんてそんなものです。
ただ、今回一つだけはっきり覚えました。
「ベイシアとベルクは裏でつながっているが、ベルクスだけは完全に仲間外れ(別会社)」
これだけ覚えておけば十分です。
スーパーで必要なのは、企業理念を暗記することではありません。 無事に駐車場に入り、必要なものを買って、安ければ喜んで、余計なお菓子まで買わずに帰ること。 こちらの方がずっと重要です。
もっとも私の場合、「ちょっと見るだけ」と言って入ったのに、コーヒーが安い、パンも安い、ついでにアイスも……とカゴに入れ、レジで「あれ、何を買いに来たんだっけ?」となる。
ベイシアでも、ベルクでも、ベルクスでも、結局ここだけはだいたい同じです。


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